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長野県外のローメン

 遅々として進まない伊那谷秘宝館(ローメン分室)の更新ですが、たまに長野県外でローメンを食べられるのは何処?という質問をいただきますのでまとめておきたいと思います。
 現在の調査では東京都に4軒、埼玉県に1軒、静岡県に1軒常時ローメンを提供している店舗が確認できています。
1) 菊香堂
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  新宿を起点にアクセスを説明するとJR西日暮里駅まで山手線で移動。日暮里・舎人ライナーに乗車し高野駅または江北駅で下車。徒歩15分位。江北氷川神社向かいに店舗があります。
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  スープタイプのローメンで肉はマトンを使用。ソース味が利いており、最初から酢の入った状態で提供されます。群馬県から取り寄せた太麺と生のマトン肉が店のこだわりとなっています。
 ソースかつ丼の提供もあり、こちらも生の豚ヒレ肉使用がこだわりで冷凍肉とは一味違う肉の美味しさを堪能できました。

<店舗情報>
住所: 東京都足立区江北2丁目41-8
TEL: 03-3856-8900
営業時間:11:00~22:00
定休日:月曜日

2)大衆酒場 春日
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 JR中央線阿佐ヶ谷駅で下車。駅近傍の阿佐ヶ谷一番街の一角に店舗があります。
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 ヤキソバタイプのローメンでソースベースで味がしっかり付けられています。
 肉はマトンと豚肉の両方が入っていました。麺は中華麺を蒸して使用しています。
 ソースかつ丼に加え、信州珍味の昆虫食も味わうことができるので一通り上伊那の名物料理が楽しめます。
 大将は伊那の有名店ひげのとんかつ「青い塔」の縁者の方で、初代に叩き込まれた昔ながらの伊那のソースかつ丼が味わえる点も特記しておきます。

<店舗情報>
住所: 東京都杉並区阿佐ヶ谷南2-21-9
TEL: 03-3316-1316
営業時間:17:00~24:00
定休日: 日曜日
店のホームページ
http://www.ensen-ado.com/1bangai-kameiten/kasuga/47.htm

3)食事処 Do & 花水月
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 東京都のローメンズクラブ加盟店。
 JR新橋駅から有楽町に向かうガード下に店舗を構えていますが、ちょっと奥まったところにあり判り難いかも知れません。北口を出たら東京第一ホテルのある側に沿ってガード横を進むと右手に看板があります。
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 ローメンはヤキソバタイプ。この御店を贔屓にしている伊那市の漫画家橋爪まんぷ先生のリクエストでローメンがメニューに取り入れられたと聞いています。ママが伊那までリサーチに行って研究してきた力作で随所に独自の工夫が凝らされていました。ソースベースの味付でちょっとスパイシーなローメンとなっています。
 肉は豚肉で麺は服部製麺の蒸し麺を取り寄せて使用しています。
 2010年の訪問時は作り手の勤務シフトの関係でローメンの提供は火、木曜日のみとなっていましたので注意が必要です。

<店舗情報>
住所: 東京都千代田区内幸町1-7-24 JRセンター61
TEL: 03-3507-8558
営業時間:17:00~24:00(土曜日は22:00まで)
定休日: 日曜日、祝日

4)信州炉端 串の蔵 新宿店

 未訪ですが、コース料理の〆でローメンが選択できます。単品での提供に付き電話で確認しましたところ対応可能との返事をいただきました。

<店舗情報>
住所: 東京都新宿区新宿4-1-13 田園新宿ビル 3F
TEL: 03-3357-1194
営業時間:17:00~24:00
定休日: 無休

5)麺飯菜館 じょうじょう
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 埼玉県のローメン。こちらもローメンズクラブ加入店。JR湘南新宿ラインまたは宇都宮線(東北本線)東大宮駅で下車し東口から徒歩1-2分。
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 スープタイプのローメンで特徴は野菜が豊富に使用されている点で見た目にも華やかなローメンです。
 肉はラム肉を使用、麺は一見服部製麺の蒸し麺に似ていますが中野製麺製と思われます。
 醤油ベースの味付でスープは少し餡風に粘度が付けてありました。
 調味料追加を前提に薄味にしてあるようですが、そのまま充分摂取可能です。酢、大蒜、七味唐辛子が味が大きくブレずに試しやすいと思われます。

<店舗情報>
住所: 埼玉県さいたま市見沼区東大宮5-30-2
TEL: 048-689-2233
営業時間:11:00~15:00(Last Order 14:30)、
17:00~24:00(Last Order 23:30)
日曜日、祝日は11:00~23:00(Last Order 22:00)
定休日:水曜日

6)ジンギスカン倶楽部&焼酎BAR EN-YA 御殿場

 未訪。静岡県のローメン提供店。店名の通りジンギスカンの店でローメンが味わうことができます。以前電話で営業確認をした際には「ハーイ、伊那のローメンをパクらせて貰ってまーす!!」と元気な返事をいただきました。

<店舗情報>
住所: 静岡県御殿場市新橋1990-2 マイロード村太屋ビル 1F
TEL: 0550-84-0500
営業時間:11:30~14:00,
18:00~23:00
定休日:火曜日

7)五平餅の伊那

 未訪。電話で以前確認したところ大将が調子を崩され休業中、再開未定とのお返事でした。

住所: 府中市若松町4丁目37-10
TEL: 042-335-0931

8)その他
 
 未確認ですが中央道談合坂サービスエリア下りでローメンの提供があるようです。
 また、牛角などを展開するプライム・リンクグループの「おだいどこ」でローメンを提供するときがあります。
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ローメン総説その3 ローメンズクラブ [伊那市ローメン]

 現在の伊那市にはローメンズクラブというローメンを提供している御店主方が所属する組織がある。1994年に伊那商工会のローメン委員会(ローメンを愛する会)として発足し現在の形となった。ローメンを伊那谷のみならず日本全国に広げるために活動している。
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 発足当初の加盟店は「ウエストフーズ市役所食堂(現アザレア)」「印度屋(脱退)」「スナック喫茶ポッケ」「志ぶ柿」「中華料理田村食堂」「串正」「鍋焼城(閉店)」「うしお」「食事処・酒処馬っこ(閉店)」「紋次郎」「ろじん(閉店)」「すずめ食堂(脱退)」「萬里」「上々麺舞(閉店)」「シャトレ」「中国料理みどり」「来々軒」「竜門」「教習所食堂萬里(現萬楽)」「レストラン四方路(現四方路)」「味の直吉(閉店)」「レストラン城山(閉店)」「ラーメン大学伊那インター店」「かさい食堂(閉店)」「みや川食堂」「レストラン愛球(閉店)」「日本料理あすなろ」「味心あずま(閉店)」「食堂とよばら」「たかしま(閉店)」「四季亭森田(現四季亭もりた:ローメンはしばらく提供中止)」「楽(閉店)」「南中食堂(閉店)」「萬里松島店(閉店)」これに服部製麺所、木曽屋、萬里食品センターが名を連ねていた。閉店された店は多くが御店主の高齢化や病気による引退や死去に伴うものだ。一時は伊那市だけでもローメンを扱う店舗が100軒近くあったとされるが、筆者の調査では50軒前後と半減していた。
 2011年のローメンズクラブは上記の赤字の店舗に加え「花ぜん本店」「みはらしファームとれたて市場」「萬里彩園」「華蔵」「お食事処みすず」「とまり木」「ともえ食堂」「天壇」「和しん」「森のカフェテラス」が加わっている。
 2010年は愛Bリーグが主催するB-1グランプリ参加の前段階にあたる中日本B-1フェスタへのローメンの御披露目が成された。スープ風と焼きそば風の2種類があるため統一性が無く審査が通りにくかったようで念願の出品である。スープ風と焼きそば風をミックスしたような形態のローメンとなっておりフェスタでの評判は悪くなかったようだ。ローメンズクラブ会長によると300杯くらい売れればいいやとのつもりで望んだようだが3000杯を越すオーダーは嬉しい誤算だったとのこと。全国各地のイベントに精力的に参加していく予定だそうで貴方の町でもローメンを味わえる日はそんなに遠くないかも知れない。

 毎年6月4日は「ローメンの日」としてローメンズクラブ加盟店ではローメンの割引サービスが受けられる。ローメンの蒸し(むし)麺に引っ掛けて6月4日としてある。毎年この日を狙って食べ歩きをする県外ファンもいるようだ。MAP付きのパンフレットが加盟各店に用意されているのでこれを見ながら食べ歩きを楽しんで欲しい。夕方からしか開かない店もあるので昼のローメンと夜のローメンの両方を堪能していただければ幸いだ。
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 共通の幟と青い暖簾が目印だ。
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ローメン総説その2 ローメンの分化 [伊那市ローメン]

 ローメンは2種類のタイプに大別される。
 萬里を祖とする「スープ風」と呼称されるスープの多いタイプと「焼きそば風」と呼称されるスープの少ないタイプである。後者は伊那市駅前の「うしお」が元祖とされる。
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 初代の兄が戦時中に満州で覚えた料理を持ち帰りアレンジしたそうで麺、キャベツ、マトンを炒めてソースで味付けする。
 スープ風ローメンと同じような材料を用いながらも方向性の異なる料理にもローメンの名称が使用されたためローメンの定義に混乱が生じた。
 しかしながら2系統に分化したことでヴァリエーションが広がり現在見られるような種々多様な味わいが生まれたことは否めない。
 実際は両者の中間の調理法を駆使している店舗もあり完全には区別できない。
 ローメンのもう一つの特徴として客が自分の好みで調味料を追加する点が挙げられる。多くの店舗でソース、酢、唐辛子、大蒜の摩り卸、胡麻油を常備、変り種としてマヨネーズ、カレー粉、辣油等を使用できる店舗がある。
 初めての客は種々の調味料をどう使用して良いか判らず途方に暮れてしまうかも知れない。焼きそば風のローメンは比較的味付けがしっかりされており初心者にも取り付きやすいはずだ。スープ風のローメンはベースの味付けがしっかりされている店舗からローメン体験を始めて行くのが良いだろう。

 現代のローメンは無秩序の状態にある。どこまでをローメンに含めて良いのかも今もって明示されておらず、ローメン店の店主も悩んでいるのが現状だ。
 オリジナルの服部製麺所の麺を使用していなければローメンとは呼べないかと言うとそうでは無い。実際にローメンズクラブ加盟店でも独自に中華麺を蒸して使用している店舗がある。
 羊肉を使用していることが特徴の一つではあるが、羊肉の独特の匂いや癖が苦手な人が増えているせいか最近はマトンの代わりにラムや豚肉での提供をする店が増えてきている。
 とある店主は「マトンを使っているのだけが本物のローメン、豚肉を使ったりするのは紛い物だよ」と言い切る。豚肉にすると確かに食べ易くはなるがマトンより野趣が薄れる。最初は豚肉でも良い。ローメンそのものに慣れたら是非マトンで味わってほしい。

ローメン総説その1 ローメン誕生 [伊那市ローメン]

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 ローメンは1955(昭和30)年に「萬里」店主故「伊藤和弌(わいち)」氏の手によって産み出された麺料理である。この頃は冷蔵庫が現在のように普及しておらず、痛み易い生麺の保存に苦慮していた。伊那市の「服部製麺所」の「服部幸雄」氏の協力を得て麺の保存法に関する工夫を重ねていたが、ある時麺を蒸して半乾きにすることで長期保存が可能な事を見出した。麺を蒸したことによる副産物として独特の色合い(褐色調)と食感(モサッとした表現される)も得られた。更に伊那近郊では羊毛を採取するために養羊業が盛んで廃羊の肉が流通していた。羊肉も塩蔵等で保存性を高めてはいたものの腐って廃棄になる分が少なからずあり、入手の容易なキャベツと合わせて具材として取り入れられた。当時を知る人は「ローメンは廃物利用から誕生した」のだと云う。
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 ローメンの原型の製法を記す。乾麺を茹でて戻し、スープを加えて炒めたキャベツと羊肉を入れ少し煮込む。スープには豚頭を使用しベースは醤油味、砂糖で甘味を付ける。当初は「炒肉麺(チャーローメン)」と呼称されていたが、しだいに「炒」が取れラーメンに語感の似た「ローメン」で最終的に定着した。
 ローメンは食事としてのみならず酒のつまみとしても評判を呼ぶようになった。地域振興を見据えて(当時はかなり先進的な考えだったと思われる)か故伊藤和弌氏がローメンの名称使用を自由としたため次第に伊那市内でローメンを出す店が増え始め今に至る。このローメンの名称使用に何らの制限も設けなかったことが後に少々の混乱を呼ぶことになる。
 余談だがローメンはその名称から推察されるように中華料理にそのルーツがある。故伊藤和弌氏の姉が中国で亡くなられ甥が残留孤児と成りながらも無事に生存していたことを契機に彼の国に対して大変興味を持っていたそうだ。日中友好を願い生涯に渡って尽力していたことが新聞記事等を通じて確認できる。
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 伊那市入船交差点にある萬里グループ(注1)のビルの壁面には日中友好の文字が今も掲げられている。

 冒頭の碑には「ローメン誕生の地」と書かれている。入船交差点萬里グループの一店「 くし焼き麺房屋台」隣にローメンを愛する有志の会によって2004年11月25日建立された。
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 碑文全文を以下に記す。
「まだ戦後の混乱と食糧難が尾を引いていた昭和三十年 服部幸雄氏の協力を得て伊藤和弌氏の発案によってこの地にローメンが誕生した 冷蔵庫もない時代 日持ちをよくするため考え出された蒸し麺と 当時は食べる習慣のなかった羊肉を用いたローメンは 味と栄養を求める多くの人々の支持を受けた やがて「飽食の時代」と言われるようになっても 大陸を思わせるその独特の味の人気は衰えるどころかさらに広がり 伊那市 伊那商工会議所の支援を受け またローメンを支える多くの人たちの努力によって伊那市を代表する味覚へと成長した 誕生から五十年を経て 今なお多くの人々に愛される「伊那の味」として愛好者が全国に広がりつつあるローメンのさらなる発展を祈りつつ ここに誕生の記憶を刻む」

注1)萬里グループは萬里本店を旗艦としてくし焼き麺房屋台、萬里彩園、ろじん(現在は閉店)、萬里食品センターが傘下にある。萬里グループのローメンはスープ風でキャベツ、木耳を用いている点は共通だが、故伊藤和弌氏の指示で店舗毎に少しずつ味を変えている。

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